先日、わが社のワイセラーを納入してくださってる業務用冷蔵庫の専門の会社のMさんに来ていただいて、セラーの微調整についてご相談しました。
当たり前のことですが、フランスと日本では気候や文化が異なります。
日本は、夏は大変湿度が高く、逆に冬はかなり乾燥します。あるイタリア人は、日本は「わび、さび」の国ではなくて、「かび、さび」の国だ、と言っていましたが、夏場のカビは日本では逃げられない現象であるとともに、日本人もかびを克服する努力をしてきました。その結果、売り物にカビが生えているなどというのはまさに由々しきことで、そういうことはまずあってはならないことだろうと思います。
一方、ワインを保存熟成するとき、一定の温度と適度な湿度はとても重要です。
昔から、ワインは地下倉庫のような、一年を通して温度の変わらない、湿度も適度にあるちょっとカビ臭いところで保存されてきています。これが、生き物であるワインには最適な環境なのです。
レアワインと呼ばれる何十年前のワインなどに、びっしりとカビとホコリがついて、大変きたならしい状態が、堂々と誇らしげに写真などにのっているのが、まさにこれです。
わたくしたちのワインセラーも、これが理想の環境です。大切なワインを何年も保存熟成させようとした時、これはとても重要なことになります。
けれど同時に、ワインのラベルなどに、カビなどのできるだけないようにすることも心がけています。
このため、湿度調整は細心の注意を払っています。
私どものセラーには、セラー上部の温度調節機の両脇から、超音波で発生させる蒸気で加湿する加湿器で加湿し、それとは別に除湿機を設置してセラー内の湿度を常時60パーセントあたりに調整しています。私たちは温度も厳密さを要求していますから、それぞれの機械が微妙な調節を相互に作用しながら行っています。また、大切なことは、急激な変化ができるだけないようにしていくことです。温度の変化が大きいと、ワインにストレスがかかりよくありませんし、結露などの原因にもなります。
湿度とカビが常に隣り合わせである以上、カビはワインにとって必ずしも悪いものではありませんが、お客様にできるだけ気持ちよくワインを楽しんでいただけることも、ワインのことを第一に考えた上で、心がけていきます。
Mさんは、業務用冷蔵庫の専門家です。酒屋さんや酒造会社などいろいろなところにセラーを納めてきています。日本酒の貯蔵熟成などにも精通してらっしゃいまして、私たちにもその経験や知識からいろいろとアイデアをくださいます。日本酒の熟成は、ワインより温度帯が低く、たまに樽をゆすって熟成を喚起させたりするようです。私たちもMさんの、特に日本の気候に沿った経験を借りながら、ワインにとって最適な環境を保っていきたいと思っています。
2009年12月28日月曜日
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